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伊吹文科相「小学校での英語必修化は時期尚早」発言   

メールマガジンでもちょっと予告しましたが,見直そうという考えは正しいと思います.これまで政府が進めてきた英語の小学校教科化にはとても不安がありました.

伊吹文科相の発言は,報道を見る限り「英語よりまず美しい日本語を習得するのが先」という点に絞られているようです.これももちろん大切ですが,「英語教育」という視点だけに立っても,「週1回程度英語に親しませる」という「教科化」は,もしかすると有害でさえあるかもしれません.

週1回歌やゲームを通じて40分程度英語に触れる時間を作り,終れば次までまた1週間のブランクです.「英語の早期教育」とはとても思えません.前任の文科相は「早い時期から音に慣れるのは良いことだ」と言っていたそうですが,かける時間が少なすぎます(かと言って,それ以上時間をかけることはできません).

よく「子どもの頃から始めれば」と言いますが,ネイティブの子どもは起きている間ずっと,親のもとで英語を学んでいます.それは私たちが日本語を覚えてきたのと同じことです.それと同じ効果を週1回の授業に求めるのは虫が良すぎます.

その週1回は「歌やゲーム」が中心になるそうですが,英語以前に「歌やゲーム」が嫌いな子がいたら,その子にとって英語の授業は苦痛です.それだけで「英語」が嫌いになってしまうこともあり得ます.また,教科である以上「成績」がつきますが,「あまりなじむことができない」といった評価をされてしまったら,その子は「自分は英語ができない」と思い,中学で本格的に英語を学び始める時に心理的にマイナスからスタートしなければなりません.このようなことがあると,小学校での英語教育はまさに有害です.

本当に国民の英語力を高めようとするならば,安易に「早く」「ネイティブと触れて」「親しみやすい方法で」という方法論に飛びつく前に,「何をどう学ぶか」「誰が教えるのか・教えられるのか(ネイティブに話させていれば良いのか)」という最初のところからしっかりと再検討する必要があると思います.


なお,鳥飼久美子さんの『危うし!小学校英語』(文春新書)には共感するところがとてもたくさんありました.この書き込みにも,それと重なるところがかなりあります.

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by t-globe | 2006-09-28 23:35 | メールマガジン&英語

ベネズエラ大統領の功績   

国連でブッシュ米大統領を Devil と連呼したベネズエラのチャベス大統領の演説が,アメリカで思わぬ波及効果を見せています.
U.S. Best Seller, Thanks to Rave by Latin Leftist
(New York Times.com)

問題の国連演説の時に彼が携えていたのは,ノーム・チョムスキーの“Hegemony or Survival: America’s Quest for Global Dominance”(『覇権か生存か-米国による世界支配の追求』)という本でした.

チャベス大統領は演説の中で「この本をまだ読んでいない人は,20世紀に世界で何が起こったかを知るためにぜひ読むべきだ」と強く推薦しました.

その結果,アマゾンやバーンズ&ノーブルといった大手オンライン書店を含め,
 booksellers around the country have noted a spike in sales
 (全米の書店で同書の売り上げ急増が見られた)
例えばアマゾンではペーパーバック版が1位(!),ハードバック版も6位というフィーバーぶりです.チャベス大統領,思わぬところでアメリカのGDPに貢献していたのでした.

この spike は何となくピシッという切れ味があってカッコいいですね.
 spike = a sudden large increase in the number or rate of something
金利が急上昇するというのも,a spike in interest rates というようです.

私はこの本を読んでいないので実際のことはわかりませんが,邦訳があり,アマゾンのリビューを見るとどうも翻訳に注文がつけられています.大御所の1人ですが,タイトルの副題部分は『アメリカの世界戦略と人類の未来』.私の書いた直訳と比べると,かなりマイルドになっていますね.

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by t-globe | 2006-09-23 16:57 | メールマガジン&英語

「朝から晩までウソばかり」   

"We lied morning, noon and night."
Excerpts: Hungarian 'lies' speech (BBC NEWS)

ハンガリーは暴動で大変なことになっています.
ことの起こりは,4月に行われた総選挙で勝つために首相が「朝から晩までウソをついた」と話している録音テープが,どこからか流出したことです.

このテープを首相自身も本物と認めたので,国民の怒りが一気に爆発しました.

この「朝から晩までウソばかりついていた」を英語にしなさい,と言われるとつい
 "We lied from morning till night."
と考えそうです.

これは文字通りだとちょっと怖いですね.それこそテープレコーダーのようにウソをつき続けている.常識的にはそんなことはないので,この表現でもいいとは思いますが,
やはり
 "We lied morning, noon and night." または
 "We lied in the morning, we lied in the night."(別の記事にありました)
の方が,朝はあちらで,夜はこちらで,という光景が自然に目に浮かぶ感じです.

ちょっとした工夫でとてもビジュアルな表現になると感心しました.
こういうのはやはり,本当の英語から盗んでこないとだめですね.
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by t-globe | 2006-09-20 00:09 | メールマガジン&英語

sorry for what?   

Pope sorry for offending Muslims
 (BBC News)

ローマ法王ベネディクト16世が中世ビザンチン帝国皇帝の発言を引用してイスラム教の聖戦(ジハード)を批判,というニュースがイスラム圏を激怒させるという事件が起きましたが,これに関する法王の "sorry" を話題にしています.

法王は今回の事件について,
 "I am deeply sorry for the reactions in some countries "

つまり自分の意図を誤解した「反応」が "sorry" だと言っていますが,トルコの国務大臣は明らかに不満です.
 "You either have to say this 'I'm sorry' in a proper way or not say it at all"
 (意図のはっきりしない "sorry" であれば言わない方がいい)

つまり,何が sorry なんだ? ということが問われています.
 "Are you sorry for saying such a thing or because of its consequences?"

問題なのはイスラム圏の解釈で,それを言った自分についてはどうなんだ? ということですね.

ところで,日本語のニュースで見出しや記事の内容を見ると,「謝罪」「遺憾」「残念」とさまざまな表現が見つかります.このBBCの記事のリードでは,
 Pope Benedict XVI has apologised
と書いているので「謝罪」と考えていることがわかりますが,記事を読めば問題が
 "sorry fow what"?
にあることは明らかです.これはどの日本語訳に相当するかを問いません.

sorry をどんな気持ちで使う時にも, for の後が一番重要です.
普段の会話でも,軽い気持ちで "Sorry." だけで済ませたりすると思わぬトラブルのもと.相手はその後しか聞いていませんから.
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by t-globe | 2006-09-18 09:37 | メールマガジン&英語

「世界で最も美人の多い国」   

mixiで参加しているコミュニティで,面白い話題がありました.

質問:
 「スペインは世界で最も美人の多い国です」というのは
 Spain is a country where there are most beautiful women
 in the world.
 というのでしょうか?でもこれだと、
 「スペインは最も美しい女性達がいる国です」
 になってしまうような気がするのですが。


この方が気にしている点は,まさにその通りです.
 the most beautiful women(theは必要だと思います)
 more beautiful women
などの場合に,most や more が beautiful を飛び越えて名詞にかかる
のは無理で,most/more beautiful の結びつきが優先されます.

このスレッドでの書き込みも,皆さんそこを考えて英訳していますが,
 the largest number of beautiful women
といった意見が多かったようです.最終的に質問者の方が「カナダ人が
悩んで回答した」と言ってご紹介されたのは
 Spain is a country where there are the most amount of beautiful
 women in the world.
でした.

正直言って,ここで amount はやや意外な気がしますが,それは別と
して,この日本語に対して,本当に number や amount を使うのが
正しいのでしょうか?

私の提案は次のようになります.
 In Spain you have more chance of seeing beautiful women than
 in other countries. / in the rest of the world.

スペインは人口約4000万人.例えば中国の人口は10億人を楽に超えて
いますが,それでもスペインの方が美人の「数」は多いでしょうか.
number/amount を使うということは,そういう意味ですね?

むしろここで「美人の多い国」というのは,町を歩いているとすれ違う
女性がきれいな人ばかりで驚いてしまう,というようなことでしょう.
つまり,美人に出会う可能性が高い,または美人の割合が高いという
のがこの日本語の意味だと思います.

少し長くなってしまいましたが,どうでしょうか?
(もっとも,中国が主語なら number の可能性もありますね.)
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by t-globe | 2006-09-12 23:16 | メールマガジン&英語

"mine" "yours"   

Russian gold mine fire kills 21
 「ロシアの金鉱火災で死者21名」(BBC News)

この記事はロシアの金鉱(gold mine)での火災を伝えていますが,
今日はこの記事とは関係ありません.

私は職業柄,"mine"と見ると
 "Mine!"(「買った!」) "Yours!"(「売った!」)
を連想してしまいます.

もう何年も前に,私のいた為替ディーリングルームであった嘘のような
本当の話.

あるアシスタントがロイターのディーリングシステムを使って
どこかの銀行にレートを求めていました.
 "Spot Yen Pls"(ドル/円のレートをください:pls=please)
 "50 53"(50銭で買い,53銭で売り:通常〜円は省略します)
 "one yours"(100万ドル売ります:例えば117.50で決めた.
        慣習としてone=百万単位でやりとりします.)

...と,当行が100万ドル売ったはずでした.
しかし次の瞬間そのアシスタントが
「こいつ,バカじゃないの? 逆にコンファームしてるよ!」

ディーリングシステムの画面を見ると確かに先方は
 "To cfm(確認します:cfm=confirm)
  We sell USD 1 mio at 117.53(当方は100万ドル117.53で売り:mio=million)"

と書いています.訂正してもらおうと思って,もう少し上を見ると
何と,こちらのメッセージが
 "one ours"
と,最初の "Y"が抜けていました.

「でもさあ,ふつう買う時は "Mine"で,"Ours"なんて言わないよね」
「わかりました.そう言ってみます」
と,アシスタントはキーボードをカタカタ.
 "Sry to confuse you, (混乱させてすみません:sry=sorry)
  but we meant 'Yours', not 'Ours'.
  Is it popular to say 'Ours' in trading?"

しかし先方の答えは無情にも
 "Yes, 'ours' is very popular. I thought you bought."

これで勝負はついてしまったのでした.
我々が他の銀行を呼んで,すぐに200万ドル売ったのは言うまでも
ありません.
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by t-globe | 2006-09-10 10:45 | メールマガジン&英語

Size Doesn't Matter.   

Friends protest Pluto's demotion
(USA Today.com 2006/9/2)

国際天文学連合(IAU)の「冥王星(Pluto)は惑星ではない」
という『格下げ』はずいぶん尾を引いているようです.

特に,冥王星を1930年に発見したクライド・トンボーという
科学者を生んだアメリカでは,強い反発は当分の間止みそうに
ありません.

トンボーは冥王星発見の25年後,1955年にニューメキシコ
州立大学に着任し,天文学部を創設した人です.そのため
1日には同大学で今回の決定に対する抗議集会が行なわれた
というのがこの記事.

こういう時,いかにもアメリカ人らしく参加者が揃いのTシャツ
を作って着て来ます.彼らの胸には
 Size Doesn't Matter (大きさは重要ではない)

この matter の使い方を習う時に出てくる典型的な例が
 It doesn't matter. = It is not important.
というものですが,今回のような例を見ると,やはり
 Size Isn't Important
と書くよりもインパクトがあるのを感じます.

be動詞を使った文は何となく弱い,という良い例でしょう.

肯定文でも,例えば
 Safety matters.
と言えば「安全が重要なのだ」とかなり強くなりますが,
 Safety is important.
では「安全は重要です」という感じで迫力不足.

「安全が」と強めたい時にこの matter の使い方に慣れていないと,
たいてい強調構文を使って
 It is safety that is important.
と言うことになります.
これだと,意味は通じても何だかもたついてしまいますね.

こういう時に,センスのいい先生なら強調構文と同時に
「この方が自然だよ」と言って matter の使い方を教えるのかな
と思います.

ところでこのトンボー氏,1948年にニューメキシコ州の自宅前
でUFOを目撃したという声明でも知られています.冥王星の発見
で国民を熱狂させた彼が今度はUFOを見たというのですから,
恐らく「UFOは確かに存在する!」と盛り上がったことでしょう.

この記事は次のような支持者のコメントで締めくくられています.

「クライド・トンボーはアメリカのヒーローだ.これだけでも,
冥王星を一人前の惑星としておくのに十分な理由になる」

そうです.この意気があれば,ディズニーのヒーロー(かな?)
プルートは間違っても格下げなどされないでしょう.
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by t-globe | 2006-09-03 03:30 | メールマガジン&英語

おもしろブログ発見!「かてなちお」   

かてなちお
 http://www.kannukiya.com/blog/
「何だそれ?」と思わず言ってしまいそうなタイトルですが,
イタリア語で「カギをかける」「閂(かんぬき)」という
意味だそうです.

実は「電氣式閂屋」というネットショップのオフィシャルブログ.

お店の名前は『でんきしきかんぬきや』と読み,電子式ロックや
防犯防災フィルム,防犯カメラなどセキュリティ用品を売って
いるようですが,私はお店とは無関係にこちらのブログが
週2回(月・木)更新されるのを楽しみにしています.

このブログのライターは,長谷川あゆみさん.mixiの知り合いです.
 http://mixi.jp/show_friend.pl?id=1088160

常々文章が絶品だと感心していましたが,このブログでは
その魅力を遺憾なく発揮して,たいていカギと関係のないことを
奔放に(しかしかなり計算して)書いています.

最新の「汗かきレッスン」というエントリーなど,何はともあれ
一度その通りやってみようかな,という気がしますよ.
ぜひご覧ください.

*** a-yumi さんへ ***
さて,頼まれもしないのにこれだけ宣伝しました.
あなたはすぐ,Amazonへ飛びましょう.
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by t-globe | 2006-09-01 21:20 | Blog