「文車日記」(ふぐるまにっき)   

作家の田辺聖子さんが日本の古典を紹介した67のエッセイ集.
先日新聞の書評欄で,ご自分で紹介されていたものだが,刊行
されてもう30年になる.

天智・天武という二人の天皇と額田王の大人の三角関係.
平家物語に出てくる木曾義仲が,巴御前と今井兼平との間に持っ
ていた,男女間の友情と男同士の友情.どれもとても興味深く
読める.後者のエッセイの最後の,「男たちの友情は,共に美し
く死にほろぶときのためのもの,そして,男と女に,もし友情が
あるとすれば,それは共に生きるときのためのものではないか」
というのは名言.

また,多くのエッセイの中に和歌が非常に効果的に使われている.
もちろん,日本古来のコミュニケーション手法として和歌が使わ
れたシチュエーションを,これらのエッセイは下敷きにしている.
しかし古典を現代に伝える短い文章の中に,選りすぐった和歌が
タイムリーにちりばめられているるのは驚くほどである.

三十一文字という制約があるから,一つの言葉に何重もの思いが
こもる.それなのに決して思いがあふれ出さないのがすぐれた
和歌なのかと,この本を読みながら思っている.
[PR]

by t-globe | 2004-07-14 03:06 | Entertainment

<< ヘッジファンド メルマガの裏知識 >>